何故がん組織を保管するのか?

2.再発予防に手術後のがん治療(術後補助療法)

手術で取りきれなかったがんの除去を目的として、手術後に補助療法を行うことがあります。再発はがんが元々あった臓器や器官などに再びできる場合と、血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器などに転移する場合があるので、手術後の補助療法としては、全身療法である「抗がん剤治療」が一般的です。

しかし抗がん剤はがん細胞だけでなく毛根の細胞や免疫細胞などの正常細胞も傷害してしまうため、脱毛や身体の抵抗力の低下といった副作用を伴うことがあり、残存がんがあるかどうか分からない状態で使うことに対しては様々な見解があります。

このような状況の中、副作用の少ない全身療法が期待されており、その一つが「免疫細胞治療」という治療法です。私たちの身体には、もともとがんやウイルスなど、病気の原因となる異物を排除しようとする免疫の力が備わっていますが、免疫細胞治療は、この免疫細胞を体外で活性化・増殖することで大幅に強化し、再び体内に戻すことで、がんを抑制しようとする治療法です。軽度の発熱やまれにアレルギー反応が見られること以外にこれまで重篤な副作用が報告されていない身体にやさしい治療法であり、微小ながんを全身的に攻撃できると考えられることから手術後の再発予防に有効であるといえます。

免疫細胞治療にも様々な種類がありますが、「自己がん組織」を利用することにより、自身のがんに標的を絞って攻撃することができる「樹状細胞ワクチン療法」は特に期待されています。

3.「自己がん組織」を利用したがん治療